オンライン公開講義「芸術は人を愛する」
2020年7月26日に開催されたオンラインイベントを、
アーカイブ映像としてまとめています。
オープニングトーク
出演
澤 和樹(東京藝術大学長)、日比野克彦(東京藝術大学美術学部長・「I LOVE YOU」プロジェクト2020 CGO(チーフ芸術オフィサー))、箭内道彦(東京藝術大学学長特命美術学部教授)
出演者コメント
澤 和樹
日比野克彦
I LOVE YOU プロジェクトを立ち上げたきっかけは、ひとつの疑問でした。近年、様々なテクノロジーが革新を遂げていますが、もしかしたら、その一方で“人間らしさが損なわれていないか?”疑問に感じたからです。今ある仕事の8割がAIにかわられるともいいますが、社会が無機質に進歩しては、残念ではないでしょうか?せっかく人間には、様々な方法で、感情をわかち合うチカラがあるのですから。新しいもの、古いもの、それに限らず様々なものの違いを認め合える社会を、つくらなくてはならないのだと思います。
箭内道彦
コロナ禍の中、文化芸術への支援策発表の際、ドイツの文化大臣は「今、生命維持に必要不可欠な存在」と断言した。イギリスの首相は「この国の脈打つ心臓だ」と言った。社会にとって、あなたにとって、わたしにとって「芸術」とは、一体何なのでしょう。東京藝術大学と考える、POWER TO THE ARTS。クリエイティブな未来の多様を、芸術の力を知るすべての人々とともに。
スペシャル対談①「聾の映画が奏でる無音の音楽」
「音ではない音」を、からだの中に感じている。
出演者コメント
牧原依里
コロナ禍で価値観がバージョンアップされ、コンピューターで管理される社会へと加速したこの世の中、数値化や言葉にできない「私」の感覚を伝えていく芸術はこの時代をよりよく生きるために不可欠な存在であり、私たちの心の拠り所です。芸術は人間を進化させます。
スペシャル対談②「芸術に触れるとき脳では何が起こってる?」
スペシャル対談③「お魚への愛が止まらないのでギョざいます」
スペシャル対談④「読みたいものを書く、観たいものを作る」
スペシャル対談⑤「クローズアップ藝大~今、なぜ芸術か~」
ちゃんと問題提起できる世界。
出演
スプツニ子!(アーティスト/東京藝術大学准教授)、国谷裕子(東京藝術大学理事)
出演者コメント
スプツニ子!
COVID-19の感染拡大により、世界中で様々な不和が生まれています。こんな時こそ難しい問題に向き合い、愛を大事にしないといけない。私は芸術にそのパワーが秘められていると思っています。
国谷裕子
COVID-19がもたらした危機は広がっていた不平等を浮き彫りにし、”誰も取り残されない社会”に向けた変革の必要性をつきつけた。私たちは、このままでは社会も地球も持続可能ではないという時代に生きている。エネルギー、食糧、都市のあり方、そして豊かさや幸せとはなにかが問いかけられている。
クリエィティブな発想やデザイン、芸術は変革にむけて人々の心をつなぐ大きなパワーとなる。この「I LOVE YOU」プロジェクトをとおして芸術の可能性をもっと伝えたい。
スペシャル対談⑥「芸術は、生命維持に必要不可欠な存在か」
心を満たすことはできる。世の中を元気にできる。
出演
葉加瀬太郎(ヴァイオリニスト)、 澤 和樹
出演者コメント
葉加瀬太郎
自分の生きている間にこんなことが起こるなんて思ってもみなかった。誰もがそう思っているだろう。僕にとってはデビュー30周年という節目の年でもあった。当然春から大規模のコンサートツアーを予定していたが、リハーサルを終え照明演出を作り終えて、あとは初日を待つだけというところで延期を決めた。僕のメインワークはコンサートだ。手足をもがれてしまったようなものだ。非常にやるせない、寂しい気持ちのまま今日を迎えている。その悔しさを僕は制作に向けた。ひたすらに自宅のスタジオに籠城し音楽を作り続けている。今皆でシェア出来ないのなら、しばらくは一人で出来る事を考えよう。そして皆が安心できる日が来た時、僕はこの全てを皆に届けるつもりだ。音楽であれ美術であれ、芸術の根本はリビドーだ。衝動に忠実に従い、それを皆でシェア出来るものに昇華する。その情熱と行動こそが芸術だ。どうか皆さん、情熱を失わず自分の夢を追いかけてください。今はその夢をじっくりと溜め込んでいてください。一人の勝手な夢が、世界中の皆を巻き込む夢になる。それが芸術だから。
2020年、東京藝術大学は、誰もしたことのないやり方で、「I LOVE YOU」を伝えます。 手段は問わず。参加者がそれぞれに創造力の限りを尽くして、 「I LOVE YOU」を伝えます。 ご期待ください。