I LOVE YOU プロジェクトは、
現代社会において、芸術が担うべき新たな役目、
可能性を見つめるために立ち上がりました。
参加者は、東京藝術大学の学生と教職員。
「芸術は、人を愛する」という信念に基づき、
まずは2020年に、50以上ものインスタレーションや、
コンサート、ワークショップなどを行いました。
2021年には、「SDGs」をテーマとし、
アーティストたちが当事者として、社会課題に取り組みました。

そして2022年は、「誰もが孤立しない共生社会の実現」に向けて、
様々な問題の解決に芸術の力でアプローチしていきます。

プロジェクトを立ち上げたきっかけは、ひとつの疑問でした。
近年、様々なテクノロジーが革新を遂げていますが、
もしかしたら、その一方で“人間らしさが損なわれていないか?”
疑問に感じたからです。

今ある仕事の8割がAIにかわられるともいいますが、
社会が無機質に進歩しては、残念ではないでしょうか?
せっかく人間には、様々な方法で、感情をわかち合うチカラがあるのですから。
新しいもの、古いもの、それに限らず様々なものの違いを認め合える社会を、
つくらなくてはならないのだと思います。

想像してみてください。
ものごとの本質を見極め、声なき声に耳を傾けられる世の中を。
目を背けがちな難題をひも解き、仲間と手をとり立ち向える明日を。

私は、芸術には、ひとの心を動かし、
社会を豊かにするチカラがあると信じています。
そして、芸術には、その使命があると考えています。

日比野克彦 photo by Nozomu Toyoshima

東京藝術大学 学長
東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト
CGO(チーフ芸術オフィサー)

日比野克彦