[ アーカイブの公開、トークイベント、リサーチ、展覧会 ]
平和資料館の上にアートスペースを開設する
牧園憲二 古閑慶治 崔栄梨
本企画の舞台である平和資料館は長崎に位置します。
資料館には東アジアと日本との関わりに関する資料、そして現在の日本ではあまり知ることができない日本の加害の歴史に関する資料が多く所蔵されている貴重な資料館です。私たちは核や炭鉱、ディアスポラなど、近現代における社会的なテーマをもとに制作を続けています。
このテーマに対して多様な視点でアプローチしていくためには、日本人だけでなく当時のことを経験した外国人の視点にも寄り添うことが必要不可欠であると考えています。しかし残念ながら、現在の日本にはそういった視点の歴史を扱う公立の資料館はありません。
この資料館の1Fには展示室、2Fにはライブラリースペース、また階段にもパネル展示がしてあり、階ごとに歴史について違った視点の学びが得れるようになっています。そしてその上の3Fには空き部屋があります。私たちは今年の3月にこの空き部屋で、資料館でリサーチして制作した作品と発掘した資料を使って展覧会を開催しました。そこでこの資料館には現在の視点からの学びの展示があまりないことに気づきました。
私たちは表現活動がその空白を埋める役割を持てるのではないかと思い、三階の空き部屋にアートスペースを開設し、継続的に表現が持つ多様な視点にアクセスできる空間をつくって行きたいと考えています。今年度の具体的な活動内容としては、定期的に資料館を訪問しこの資料館に眠っている資料を整理しながらアーカイブ化を行います。また平行してこれら資料に対して実施者各々が持つテーマに沿ったリサーチを行います。最終的にはそれぞれが個展という形で展覧会を行います。
私たちの表現活動やリサーチのアーカイブをパブリックに対して公開していくことで、オンライン・オフライン問わず若い世代の人々がこの資料館にアクセスしていく新たな回路を形成していくことが目標です。