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Public Device
― 彫刻の象徴性と恒久性

小谷元彦(アートディレクター)

2020年12月11日(金)~ 12月25日(金)

東京藝術大学大学美術館 陳列館Google Map

〒110-0007
東京都台東区上野公園12−8

18世紀以降、洋の東西を問わず、公共空間の彫像/彫刻は都市の近代化に付随するかたちで林立しました。そして第2次世界大戦後には、世界中で多くのパブリックアートが設置され、日本でも1950年代以降、公共彫刻の設置が相次いで起こります。

日本の公共彫刻の多くは指名制度によって設置されていますが、コンペティション形式である場合は、作家が作品をプレゼンテーションするための資料を制作します。提案が採用され実現する作品がある一方で、その他のアイデアは公開されることはありません。

本展では、そのような公共彫刻にまつわる裏側、作品の提案や実作に至るまでの過程に重きを置き、彫刻の制作段階そのものを焦点化します。彫刻とは最終的な形態を重要視する芸術であるように思われていますが、そこには、不採用になったコンペ案同様、無数の試行錯誤や思索が存在しています。

物質としての質量をもった彫刻を並べるだけではなく、ドローイング、マケット、CG、映像媒体など多様な表現による彫刻の道筋を見せること。このような方法を通じて、いままではあまり意識されることのなかった、権力を受け止める装置としての彫刻のありようや、彫刻というメディアの永久設置について現代から再点検することが本展の目的です。

この国で最初の裸婦の公共彫刻である菊池一雄氏の「平和の群像」や裸の男性像「自由の群像」のマケット(藝大彫刻科アーカイブ)を起点として、現代において放射状に拡がっていく「公共」と「彫刻」の可能性を多角的な角度から考察します。

「Public Device ― 彫刻の象徴性と恒久性」公式サイト